短歌と妄想

短歌鑑賞ブログです!と言いつつほぼ読書日記です。

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ある友人の話

ある時、よそで「世間知らず」と言われてちょっとへこんだ。私には、「世間知らず」って言葉には「狭い世界の中でぬくぬくと楽をしてる」というイメージがあるから。


それで親しい友人に聞いてみた。「私、世間知らずかな」と。


するとその人は言った。「世間知らずだよ」と。


私は自営業で専門職についている。この仕事特有の苦労はしている。だが、その人は「その職種の人は、営業マンにへいこらされて、ふんぞりかえってるよ」「職場では『絶対的存在』なんだから、そんな状況で何を経験したってさ…」「もし舐められるなら理由があるからだと思わないの?」と言う。


しまった、この人何も知らないんだ、と思って、説明をしてみたけど伝わらなかった。とっても悔しかったが、この時は「これ以上説明してもわからないと思うからいいや」と話を切り上げた。


だけどやっぱり悔しいから、次にご飯食べた時また話を蒸し返したんだよね。


そしたら、「その話そんなに重要?」「余計な一言言っちゃった?」「ご機嫌斜め?」「その職種へのひがみもあってちょっと言っただけだよ」「業界違うんだからそっちの仕事のことわからないよ」ということであった。


確かに、業界違うし知らないのは無理ない。深い意味なく言ったのも事実だろうと思う。だけど、ふと出た一言だからこそ、その人が私の仕事をどう認識しているかが、端的に現れているんじゃないかと思った。


親しくないならスルーする程度の話だ。ただ、親しい人なので、わたしが悔しく思っていることをわかって欲しかった。


なのに話してもうまく伝わらない。あくまでその人は「そんな大事なこと?」というスタンスだ。そして、これはわたしの良くないところだが、あまりに悔しいと怒るより先に涙が出るのだ。


その人はしばらくは我慢してくれていたが、お店を出た後、「食事中に泣き出す人って、実は一番嫌いなんだよね」とニコニコしながら言った。


そして、今日はもう気をつけて帰って、と言った。本当にニコニコしながら。


もう少し話をしようと粘ったが、「こんなところで話すのは恥ずかしいからやめて」「お互いのためにならないから」「こっちは話す必要性、まったく、感じていないから」とニコニコ言う。


「もう少し、表面的でなくちゃんと話せる間柄だと思った」と言うと、「そう思うんならそうなんでしょ、申し訳ないけど。こちらもあなたのこと何より優先してたのに、そんなこと言われるの心外だけどね」とニコニコ。この人なんで笑ってるんだろう!?


なので、では、お元気でと言って帰ってきた。


これは仕事の愚痴をわかってもらえなかったという話ではない。私が何かを大事にしているとき、とても親しい人にはそのことを尊重してほしいという話だ。


尊重してもらえないこともあるが、たいていは単によく知らないからそうなる。よく話せばわかってもらえることが多い。


今回私の説明が下手だったんだ。それは確か。プレゼン下手だわな。


長い時間をかけて少しずつ伝えれば、あるいはこの人も尊重してくれたかもしれない。ただ、話を聞くこと自体を面倒だと思われたのではどうにもならない。それでも伝え続けようという根気、私にはない。


その人はとても自律的なタイプで、ストイック。仕事に対して真剣で努力もしている。なのに努力を周囲にアピールしない。完璧に自己コントロールができる人だ。仕事は楽しいと言いきり、うまくいかないことなんてないと言いきる。決して弱音を吐かない。周りからの信頼も厚い。そして、仕事を終えた後、楽しく食事をとることをとても大切にしている。


私はそういうところ、とても尊敬している。

 

でも、私は、会話の本質を回避しようとする人と長期的な関係を築くことはできない。もうこの人と一緒にご飯を食べに行くことはないと思う。

 

〔追記〕

「会話の本質を回避しようとする」っていうのは、この人に対して失礼だった。話はちゃんと聞いてくれていたと思う。ただ本当に、通じなかったということだと思いました。通じないときに、こっちが後に望みをつなげるか、あきらめるか、ということです。私はあきらめた。