短歌と妄想

短歌鑑賞ブログです!と言いつつほぼ読書日記です。

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生きるテンション

漫画『四月怪談』(大島弓子著)を久しぶりに読みました。大島弓子、学生の頃から好きです。

四月怪談 (白泉社文庫)

四月怪談 (白泉社文庫)

 


事故で一度死んだ女の子。魂だけになった女の子は、透明人間状態で空中を飛び回り、幽霊生活を楽しみます。でも、この間に好きな人に恋人がいるとわかってしまい、生き返る意欲を失います。100年前から自分の遺体を探しているという先輩幽霊が、この子を生き返らせようと必死に説得しますが…。


【ネタバレ注意】


生き返った後、女の子は「雨に濡れるのも楽しい、右足と左足を交互に前に出して歩くのも楽しい、花瓶を落っことしたら割れたことも楽しい」と言います。


突飛な話なんですけども、こういうところリアル!!


かつて慣れきっていた身体を再び使えるようになったとき、当たり前の動きがすごく新鮮に感じられてうれしかったんだろうな、と思う。


この話からさらに連想した本があります。


『奇跡の脳』ジル・テイラー著なんですけれども。

 

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

 


ジルさんは脳科学者で、重症の脳出血を起こした後リハビリで復活した方です。こちらはその過程を描いた本。


この本に、皿洗いは実はめっちゃ高度な技術だ、という記述がありました。


皿を落とさぬよう絶妙な力加減で握り、水に当てる。水の強さも強すぎても弱すぎてもいけない。適切な量の洗剤をスポンジにとり、汚れの存在を、目と手触りで確認して適切な力でこする。次にまた水にさらして、泡が残らないよう、ツルツルの感触になるまですすぐ。さらに、洗い終わったお皿を水切りかごに入れるとき、水が落ちるように、かつ重ねたお皿が崩れないように並べていくのには、かなりの計算が必要だというのです。


言われてみればそうだ…。お皿洗い、実は、すんごく脳を使った作業なんですね。


で、これらの本を読んで思うのですが、どうして私は、というか人間は、毎日すごいことをしているのに、「やったぁ」「すごい」って思えないんだろう…。


なんで、気をつけないとテンション低くなっちゃうんだろう。あー今日もだらだらしちゃった、とか。


「ただ生きてるだけじゃだめ。毎日食べてうんちして寝る。それだけじゃだめ。」


仮にそういう生活だとしても、完全に外から切り離されて食べてうんちして寝ることはできないですよね。


必ず誰かとは接触する。それに、必ず何かしらの知覚刺激はある。


本当に何もしなくても、食べ物の味、歯ざわり、空気の動き、温度は感じるはず。食べ物を渡してくれた人の声音、その人の手の温度。うんちだって、日によって色々なの出ますし…(出ないこともあるし)!


「何かをしなくては生きている甲斐がない。」


わたしもそう思いますが、前提として人間は生きてるだけで実はすごいということは、たまに思い出すようにしたいと思いました。


その方が、生きるテンションが高くなる。生きるテンションが底上げされる気がする。