短歌と妄想

短歌鑑賞ブログです!と言いつつほぼ読書日記です。

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晩冬の東海道は

 

晩冬の東海道は薄明かりして海に添ひをらむ かへらな

紀野恵『さやと戦げる玉の緒の』

 

この歌、紀野恵さんの代表作だそうです。最後の一字空けの後の「かへらな」のインパクトが強くて、すぐ覚えました。

ですが、東海道という道を擬人化していてスケールが大きく、はじめ鑑賞がうまくできませんでした。薄明かりは街灯が道を照らしてるのかな?とか思って。かへらな、だから、作者は関西の人で、東海道を通って故郷に帰りたいのかな?と、そこまでしかわからなかったのです。

ところで、先月夕方6時頃、車を運転していて橋に差し掛かったとき、西の空全体に夕焼けのピンク色が残っているのが見えました。車のライトはつけるかどうか迷うくらいの明るさ。「だいぶ日が伸びたな」なんて思ってる時、突然、上の歌が思い浮かんだのです。

そうだ、あの歌はこの光景を歌ってるんだ、と思いました。

1月も終わりに入り、日はゆっくりと長くなった。だからこんな時間でも、まだ空に明かりが残っている。海岸は見晴らしが良く、海沿いの東海道も夕焼けにうすく照らされ、ずうっと先まで見える。まるで、故郷へ「こちらですよ、お帰りなさいな」と誘うように。

そういう歌だったんだ!すごく納得しました。ピンク色に照らされて海に沿って横たわり、故郷へ誘う東海道東海道って母性を感じさせる道だったのか〜〜。

これは今調べたんですけど、晩冬とは、小寒(1/5頃)から立春(2/4)の手前までを指すそうです。つまり、冬至は過ぎており、じわじわと日が長くなってくる時期。おお、やっぱりそうだった、とほっとしました。

それから、紀野恵さんは、徳島県ご出身だそうです、なるほど。

 

『さやと戦げる玉の緒の』は手に入れてないのですが、紀野恵さんの本は『白猫倶楽部』を持ってます。こちらも好きです。kindleにもなってるようです。

  

白猫倶楽部 現代歌人シリーズ

白猫倶楽部 現代歌人シリーズ

 
さやと戦げる玉の緒の

さやと戦げる玉の緒の